ONE OK ROCKの新作、「Ambitions」を最速で全曲レビュー!
2017年の1月、待っていたアルバムが届いた。ONE OK ROCKの「Ambitions」だ。前作から2年ぶりで、その間にもライブや映画の主題歌で名前を聞く機会が増えていた。届いた日は、仕事の行き帰りにずっと聴いていた。
最初に通して聴いたときの感想は、正直に言うと「いつものワンオクではない」だった。悪い意味ではなく、音の作りがまるで違う。ギターが前に出る曲が減って、打ち込みやシンセ、ストリングスが目立つ。バンドサウンドの存在感はかなり薄い。
この記事では、収録曲を順番に追いながら、どこがどう変わったのかを書いていく。日本版と英語詞版の違いにも触れる。音楽の専門的な話はできないので、聴いた人間の感想として読んでほしい。
これまでとの違い
ひと言でまとめるなら、洋楽っぽいワンオクから、完全に洋楽のサウンドのワンオクへ、という変化だ。以前は日本語詞に英語のニュアンスを混ぜる印象だったが、今作は英語詞版が別に成立するほど、英語が前提の作りになっている。
ミドルテンポの曲がほとんどで、激しい曲は数えるほどしかない。昔のアルバムにあったような、叫ぶような曲を期待して聴くと面食らう。ただ、これは後退ではなく、バンドが選んだ方向だと思う。
ライブでどう化けるかは分からない。むしろ、この静かな曲たちが大きな会場でどう響くのかに興味がある。音源だけで判断するより、ツアーを経てから評価が固まるタイプのアルバムだ。
1曲目は静かな導入
アルバムは短いイントロダクションから始まる。楽器がほとんど登場せず、浮遊感のある音が流れる。以前のアルバムのように、いきなり音が爆発する始まり方ではない。期待を静かに高める作りだ。
この入り方は意図的だろう。次の曲へ自然につながるように作られていて、アルバム全体を一つの流れとして聴かせる。1曲だけ切り出すより、通して聴いたほうがよさが分かる。
Bombs awayで一気に動く
実質の1曲目が「Bombs away」。静かに始まって、サビで一気にエンジンがかかる。この落差が気持ちいい。最初に聴いたとき、ボーカルの歌い方がまた上手くなっていると感じた。
バンドのアルバムは、2曲目にゴリゴリのロックを置くことが多かった。今回はそこが静かなので、序盤の印象はかなり違う。ただ、曲の中でちゃんと盛り上がる場所が用意されている。ライブの1曲目に来ても似合うと思う。
Taking Offはライブで化けた
「Taking Off」は、大きなライブで初めて披露された曲だ。発表された当時は、ノリにくい曲だと思っていた。ところが何度も聴くうちに、抜け出せなくなる中毒性がある。今ではアルバムの中でもよく聴く1曲になった。
ライブでは、あるフレーズを客が一緒に歌う場面がある。音源だけで聴くと地味に見えるが、会場で声が重なると印象が変わる。そういう前提で作られた曲なのだと思う。
We areがアルバムの中心
「We are」は、テレビ番組で一度だけ作られたステージで披露された曲だ。十八歳の世代の千人と一緒に作り上げた、という話を聞いて、映像を見ながら泣いたのを覚えている。サッカー中継のテーマにも使われていた。
歌詞は、自分を偽って生きることに意味があるのか、というまっすぐな問いから始まる。説教くささがなく、背中を押してくれる。ライブで大合唱になる日が来るのは間違いない。
個人的には、2曲目からこの曲までの流れが、アルバムでいちばん盛り上がるところだ。どの曲も激しいわけではないのに、世界観に引き込まれる。
20/20の静と動
「20/20」は今作でかなり好きな曲だ。アコースティックギターと歌から始まって、途中からバンドサウンドに切り替わる。この切り替わりが自然で、気づくと体が動いている。
間奏で雰囲気が変わるのも面白い。昔からのファンが聴くと、どこか懐かしさを感じる作りになっている。静と動が一曲の中で何度も入れ替わるので、最後まで飽きない。
Always coming backの素直さ
「Always coming back」は、アコースティックギターと歌だけのシンプルな構成から始まる。そこから少しずつ音が厚くなって、最後は大きな光景を見せてくれる。今作の中ではいちばん聴きやすい曲だと思う。
大きなライブで披露されたとき、客が一体になって歌っていたのが印象に残っている。楽器の数が少ないぶん、声が前に出る。歌のうまさがごまかせない曲で、それを成立させているところに力がある。
Bedroom Warfareの違和感
| 項目 | 内容 | ポイント |
|---|---|---|
| Bombs away | 静かな入りからサビで加速 | 2曲目ながら実質の1曲目 |
| Taking Off | 聴くほどに癖になる中毒性 | ライブで声が重なる曲 |
| We are | まっすぐな問いかけの歌詞 | アルバムの中心になる曲 |
| 20/20 | 静と動が入れ替わる構成 | アコギからバンドサウンドへ |
| Always coming back | 歌とギターだけの入り | 今作でいちばん聴きやすい |
| I was King | オーケストラとバンドの重なり | 10周年の節目を感じる曲 |
「Bedroom Warfare」は先行で配信されていた曲だ。初めて聴いたとき、さらに洋楽に寄ったなと思った。効果音が多く、ライブでどう演出されるのかが気になる。
ただ、日本語の部分には少し引っかかった。メロディーに言葉を当てはめた感じがあって、しっくりこない。曲のよさとは別のところで、耳が止まってしまう。英語詞版で聴くと、この違和感は消える。
Lost in TonightとI was King
「Lost in Tonight」は、不思議な音から始まる曲だ。暗い雰囲気はあるけれど、暴れるような激しさはない。今作の傾向がよく出ている。もう少し個性が欲しいと感じたのが正直なところだ。
「I was King」は、オーケストラの演奏から始まって、そこにバンドサウンドが乗っていく。この組み合わせが新鮮だった。バンドが十年を迎えた節目だからこそ歌える内容で、これまでとこれからが歌詞に表れている。
ListenとOne Way Ticket
「Listen」では、海外の歌手と共演している。まさかこの組み合わせが実現するとは思わなかった。ゆっくりしたリズムで、二人の声をじっくり楽しむ曲だ。片方の声がいいアクセントになっていて、耳が飽きない。
「One Way Ticket」は、ポップで爽やかな曲だ。日本語の歌詞が清々しくて、これまでのイメージとは違う。いい意味で、らしくない。前作にも異色の曲があったが、今作ではこの曲がその役目を担っている。
Bon VoyageとStart Again
「Bon Voyage」は、今作では珍しくバンドサウンドが前に出る。ただし効果音も多く、ロックというよりポップに寄っている。途中でギターが前面に出てくるので、一曲の中で表情が変わる。
「Start Again」は疾走感のあるポップロックだ。爽やかで、聴いていて気持ちがいい。歌詞の一節がとてもらしくて、そこが好きで繰り返し聴いている。激しい曲が減った代わりに、大きな会場でも届く曲が増えたのだと思う。
英語詞版だけの3曲
今作には日本語版と英語詞版があり、英語詞版にしか入っていない曲が3曲ある。海外のバンドとの共演曲、YouTubeで公開されていた曲、そしてポップな曲。どれも日本版の流れとは少し違う顔をしている。
中でも、父親に向けて書かれたと言われる曲が印象的だった。感謝の気持ちが歌詞に溢れていて、ゆったりしたメロディーと合っている。日本版にも入れてほしかったというのが正直な感想だ。
シークレットトラック
初回限定盤には、恒例のシークレットトラックが収録されている。今回はこれまでのおふざけではなく、アコースティックギターと歌だけの、まじめな曲だ。これがまたうまい。
最後の最後にこういう曲を置かれると、アルバム全体の印象が変わる。聴き終わったあとに残る余韻が、まったく違うものになる。買うなら限定盤をおすすめしたい理由の一つだ。
聴きどころの整理
- 前半はBombs awayからWe areまでの流れを通しで聴く。
- 静と動の切り替わりは20/20で味わう。
- 歌のうまさを確かめるならAlways coming back。
- バンドサウンドが欲しい日はBon Voyage。
- 英語詞版は日本版と聴き比べる。
- 最後はシークレットトラックまで聴く。
順番に聴くことをおすすめしたいのは、このアルバムが流れで作られているからだ。曲単体で切るより、前後の曲とつなげて聴いたほうが、意図が伝わってくる。
まとめ
「Ambitions」は、これまでの印象を大きく変える一枚だった。激しさは減ったが、歌の力と音の作り込みは明らかに進んでいる。最初に期待していたものと違っても、聴き続けるうちに納得できる。
激しい曲を求める人には物足りないかもしれない。それでも、バンドが変わっていく過程を見られるのは、ファンとしては嬉しいことだ。新しい一面を聴きたい人には、ぜひ一度通して聴いてほしい。
あわせて読みたい
ONE OK ROCKのライブを10倍楽しむコツ総まとめ!
いちばん好きなアーティストはONE OK ROCKだ。映画やCMでも曲が使われるようになって、ライブに行ってみたいという人も増えたと思う。ただ、初めて行くと分からないことが多い。並ぶ時間、買うタイミン
[Alexandros]の新作、「EXIST!」が最高すぎてレビューせざるを得ない。
2016年の11月、待っていたアルバムが出た。[Alexandros]の「EXIST!」だ。デビュー当時から追いかけているバンドなので、発売日は朝から落ち着かなかった。届いてすぐ、ヘッドホンで1曲目か
歌えると超かっこいい、英語の歌詞の曲20選。
邦楽でも洋楽でも、英語の歌詞の曲を聴くことが多い。その中に、歌っていて妙に気持ちがいい曲がある。声を出すと気分が上がって、思わず得意げな顔になってしまう。そういう曲を集めてみることにした。