[Alexandros]の新作、「EXIST!」が最高すぎてレビューせざるを得ない。
2016年の11月、待っていたアルバムが出た。[Alexandros]の「EXIST!」だ。デビュー当時から追いかけているバンドなので、発売日は朝から落ち着かなかった。届いてすぐ、ヘッドホンで1曲目から順に聴いた。
結論から書くと、バンドの歴史の中でも屈指の一枚だと思う。曲の振り幅がとにかく大きい。攻めた曲、聴かせる曲、ミドルテンポの曲が、順番に並んでいる。14曲あるが、だれる場所がほとんどない。
なお、このバンドは関東では「アレキ」、関西では「ドロス」と略すらしい。大阪に住んでいた自分は「ドロス」と呼んでいた。どちらが正式かは知らないが、地方によって呼び方が変わるのは面白い。
1曲目はムーンソング
アルバムはリード曲の「ムーンソング」から始まる。初っ端から全力で来る。昔からのファンも、最近聴き始めた人も、これがこのバンドだと思える曲だ。きれいなメロディーと、英語と日本語が混ざった歌詞が魅力になっている。
このバンドの特徴の一つに、早口の英語がある。それがかっこいい。意味を追うというより、音として気持ちいい。歌詞を読むと、過去を手放して新しい段階へ進む、という内容だった。
この曲を最初に聴いたとき、ああ戻ってきた、と思った。新しいことをしているのに、芯の部分は変わっていない。その安心感と新鮮さが同時に来るのが、1曲目の強さになっている。
勝負曲を1曲目に置くのは、前のアルバムでも同じだった。最初の一音で世界観に引き込む作り方は、このバンドの得意技だと思う。
Kaijuで一転する
2曲目の「Kaiju」で、きれいな空気が一気に壊れる。ヤンチャな曲調で、アルバムの温度が急に上がる。きれいな曲のあとに攻めた曲を置く。この対比が、このバンドの定番の流れだ。
シングルはポップで聴きやすい曲が多い。だからアルバムでこういう曲を入れてくれると、ファンとしては嬉しい。ライブで盛り上がる場所が増えるからだ。
Girl Aは正直に言うと
3曲目はシングル曲。ドラマの主題歌だった気がするが、細かいことは覚えていない。正直に書くと、このアルバムのシングル曲はあまり好みではない。
ただし、ライブでは最初に鳴る音ですごく盛り上がる。音源で聴くのと、会場で体に受けるのとでは、まったく別物だ。アルバムの中の位置づけと、ライブでの役割は違うのだと思う。
Clawの構成がずるい
「Claw」も攻めている。ギターでぐいぐい押していく曲だ。AメロもBメロも勢いがあるのに、サビで一気にきれいなメロディーに切り替わる。この落差がずるい。かっこいいのに、急に歌が沁みる。
ギターの音が硬くて、リズムが前に転がる。サビで歌が開ける瞬間があって、そこがこの曲の聴きどころだ。何度か聴くと、その瞬間を待つようになる。
疾走感があって、声を合わせられる場所もある。ライブで聴いたら気持ちいいだろうな、と最初に思った曲だ。早く会場で聴きたいという気持ちだけで、しばらく聴いていた。
O2は眠くなる
「O2」は、正直に言って眠くなる。ヒーリング音楽に近い。悪口ではなく、そういう曲として置かれているのだと思う。激しい曲が続いたあとの、息継ぎのような位置にある。
夜に聴くと、たぶんそのまま眠ってしまう。それも含めて、この曲の役割なのだと思う。朝や移動中に聴くと、また印象が違って聞こえるかもしれない。
アルバムを通して聴くとき、こういう曲があると助かる。全部が全力だと疲れてしまう。緩急をつける曲が入っていることで、次の曲の印象が強くなる。
Feel likeは別格
「Feel like」は、聴いた瞬間にこれは違うと思った。これまできれいな曲はいくつもあったが、この曲は別格だ。何回聴いても気持ちがいい。メロディーの運びが、耳にすっと入ってくる。
ここまで聴くと、このアルバムの振り幅の大きさが分かる。ロックも、聴かせる曲も、ミドルテンポも、全部入っている。ジャンルに縛られずにやりたいと本人たちが言っていた意味が、音で示されている。
Aoyamaの朝
| 項目 | 内容 | ポイント |
|---|---|---|
| ムーンソング | リード曲でアルバムの1曲目 | 英語と日本語が混ざる歌詞 |
| Claw | 攻めたAメロとサビの落差 | ライブ向きの構成 |
| O2 | 静かで癒やしの位置づけ | アルバムの息継ぎになる |
| Feel like | きれいなメロディーの代表曲 | 繰り返し聴いても飽きない |
| Aoyama | ギターのリフが印象的 | 朝に2曲続けて聴きたい |
| Buzz Off! | 前作の曲の完成版 | ライブで盛り上がる構成 |
「Feel like」から「Aoyama」への流れは、とにかく気持ちがいい。朝にこの2曲を続けて聴くと、嫌なことがあっても少しハッピーになれる。そういう使い方ができるアルバムは、なかなかない。
「Aoyama」はギターのリフが印象的で、これまでの曲にはない感触がある。歌い出しの英語の感じ、日本語の歌い方、リフの質感。それぞれ別のものを思い浮かべるが、うまく説明できない。とにかく新しい。
Nawe, Naweは壮大
「Nawe, Nawe」はシングル曲で、別の曲と両A面になっている。例によって、自分の好みには合わなかった。ただ、一言で表すなら壮大だ。スケールの大きさだけで聴かせる曲だと思う。
音数を重ねて、広い場所をイメージさせる作りになっている。ヘッドホンで聴くと、左右に音が散っているのが分かって面白い。静かな場所で聴くほうが、よさが伝わる曲だ。
こういう曲がアルバムの中盤にあると、後半への助走になる。派手さより、広がりを感じさせる曲。ライブの演出次第で化けるタイプだろう。
Buzz Off!は完成版
「Buzz Off!」は、前のアルバムにオマケのように入っていた曲の完成版だ。ツアーで演奏していた記憶がある。アルバムの中でもお気に入りの一つで、ギターがよく鳴る。声を合わせる場所もある。
ライブで盛り上がることは間違いない。短くて勢いがあって、途中で手を上げたくなる。アルバムの中で、こういう曲の役割は大きい。重い曲のあとに置かれると、空気が入れ替わる。
クソッタレな貴様らへ
この曲がいちばん好きだ。路上ライブから這い上がってきたバンドの、反骨精神がそのまま出ている。歌詞には、これまでの曲のタイトルもいくつも出てくる。昔からのファンは、聴いていて懐かしくなるはずだ。
新しいファンには、ただの強い曲に聴こえるかもしれない。だが、過去を知っていると意味が変わる。積み上げてきたものを、本人たちが自分で振り返っている。そういう曲は、なかなか書けない。
終盤の3曲
「今まで君が泣いた分取り戻そう」は、冒頭から映画のエンドロールのような広がりがある。実際に映画の主題歌だったらしい。聴かせる曲を終盤に置くのは、ずるい。ここで一度、気持ちが落ち着く。
「NEW WALL」は、自分が今回唯一好きなシングル曲だ。シングル版とはミックスの印象が変わっている。これまでの感覚だと、前の曲が最後でもおかしくない。そこからもう一発、壮大なラストを置いてくる。
この2曲の並びで、アルバムは終わる。最後に「参りました」と言いたくなる構成だ。曲順を考え抜いたのだろう。
14曲をどう聴くか
14曲は長い。最初から通して聴くと、後半で集中が切れるかもしれない。前半と後半で一度区切って、飲み物を用意してから戻ってくるくらいがちょうどいい。
通して聴いたあとは、気になった曲だけを拾って聴き直す。全体の流れを知ったあとだと、個々の曲の役割が見えてくる。2回目、3回目で印象が変わるアルバムだ。
聴き方の提案
- 1曲目から順番に、途切れずに聴く。
- 攻めた曲と静かな曲の対比を意識する。
- 歌詞は英語と日本語の混ざり方を味わう。
- 気に入った曲はライブ映像も探してみる。
- シングル曲は音源より会場での印象を思い出す。
- 最後の2曲は、時間を取って聴く。
このアルバムは、曲単体で切るより通したほうがいい。並びに意味があるからだ。特に後半は、流れで聴くと印象がまったく変わる。
まとめ
「EXIST!」は、振り幅の大きさで聴かせるアルバムだ。攻めた曲も、静かな曲も、同じバンドの曲として成立している。シングル曲の好みは分かれるが、アルバムとしての完成度は高い。
シングルだけを追いかけていた人にこそ聴いてほしい。表に出てこない曲に、このバンドの面白さが詰まっている。まずは1曲目から、順番に。
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