語学留学で日本人を避けちゃいけない3つの理由。
語学留学を考えている人からよく聞くのが、「現地の日本人とは関わらないほうがいいですか」という質問だ。せっかく海外に行くのだから、日本語を使う時間は無駄なのではないか。気持ちはよく分かる。
自分も出発前はそう思っていた。ところが実際に暮らしてみると、日本人がいてくれたほうが助かる場面が多かった。避ける必要はないと感じている。
もちろん、日本語ばかり話していていいという話ではない。ただ、日本人を避けることと英語が伸びることは、別の問題だ。この二つを混ぜて考えると、判断を誤る。
留学先に日本人がいる
語学学校には、多かれ少なかれ日本人がいる。到着して教室に入った瞬間、日本語が聞こえて少しがっかりしたのを覚えている。
「しまった、環境を間違えた」と思った。ただ、その数日後には、その人たちにかなり助けられていた。現地の生活は、分からないことだらけだったからだ。
日本人がいると英語が伸びない、という単純な話ではない。使い方次第で、むしろ心強い存在になる。自分はそう結論づけた。
最初の不安をやわらげる
着いたばかりのころは、何もかも分からない。バスの乗り方、買い物をする場所、治安の悪い地域。英語力があっても、知らない土地では不安だ。
そんなときに、言葉の通じる人が一人いるだけで、気持ちはかなり楽になる。些細なことでも、聞ける相手がいるのは大きい。
自分は最初の一週間、ほとんどその人に頼っていた。情けないとは思わなかった。生活が整わないと、勉強に集中できないからだ。
携帯の契約で助かった
いちばん助かったのは、携帯電話の契約だった。日本から持って行った端末は、そのままでは使えなかった。現地で新しく契約する必要があった。
どの店に行けばいいのか、何の書類が必要なのか、皆目見当がつかない。店員の英語も速くて、聞き取れない部分があった。
先に来ていた日本人が、店の場所と必要なものを教えてくれた。おかげで、その日のうちに契約できた。あれが一人だったら、数日つぶしていたと思う。
生活の情報を教えてもらう
携帯以外にも、教えてもらったことは多い。安いスーパー、学生に優しい店、行かないほうがいい場所。地元の人に聞くより早いこともあった。
同じ立場で生活しているので、困りごとが共通している。だから、教えてもらう情報の精度が高い。旅行者向けの情報とは、質が違う。
こうした情報があると、生活の立ち上がりが早い。その分を勉強に回せる。結果として、英語に向き合う時間は増えた。
英語は環境だけでは伸びない
ただし、日本人と過ごす時間が長くなると、英語を使う時間は減る。これは事実だ。そこは意識して分ける必要がある。
大事なのは、日本人を避けることではなく、英語に触れる時間を確保すること。目的を取り違えると、意味がなくなる。
自分は、授業と課題の時間だけは日本語を一切使わないと決めていた。それ以外は緩くしていた。全部を縛ると、続かない。
語学学校にネイティブはいない
意外と知られていないが、語学学校に集まるのは、英語を母語としない人たちだ。自分が会ったのは、中国、韓国、ベトナムなどの出身者だった。
先生以外に、英語を母語として話す人はほとんどいない。つまり、教室の外で交わされる英語も、非ネイティブ同士のものだ。
この環境で「英語を話す時間を増やせば伸びる」と考えるのは、少し乱暴だ。量より、どんな英語に触れるかが問われる。
通じてしまう英語の怖さ
非ネイティブ同士の英語は、かなり崩れている。文法は無視され、単語を並べただけの会話も多い。それでも、言いたいことは伝わってしまう。
伝わるので、通じている気になる。ここが落とし穴だ。自分も、片言のまま会話が成立して、成長したつもりになっていた時期がある。
日本に帰ってから、その英語が通用しない場面に何度か出くわした。伝わることと、正しく話せることは違う。その差は、あとから効いてくる。
大事なのは使える表現
必要なのは、日本人を避けることではなく、実際に使われている表現を自分で使えるようになること。これに行き着いた。
授業で習った言い回しを、その日のうちに使ってみる。買い物でも、教室でもいい。使えた瞬間に、記憶の残り方が変わる。
先生と話す時間を増やすのも有効だった。相手はプロなので、間違いを直してくれる。友人同士の会話では、そこまでの修正は望めない。
友達をつくる機会を逃す
日本人を避けると、単純にもったいない。同じ目的で集まった者同士、理由なく距離を置くのは損だと思う。
実際、自分が仲良くなった人の多くは日本人だった。現地の生活の話や、進路の話を、日本語で深く話せた。英語では、そこまで踏み込めなかった。
| 項目 | 特徴 | 付き合い方 |
|---|---|---|
| 到着直後 | 生活の情報が何もない | 積極的に頼る |
| 携帯の契約 | 手続きが分かりにくい | 経験者に聞く |
| 授業中 | 英語に集中できる時間 | 日本語を使わない |
| 友人関係 | 深い話がしやすい | 適度に保つ |
| 英語の練習 | 量より質が問われる | 先生に話す時間を増やす |
| 交流の場 | 国籍が混ざる | 日本人以外にも声をかける |
表にすると、場面ごとに使い分ければいいと分かる。全部を日本語にする必要はないし、全部を英語にする必要もない。
距離の取り方
自分が意識していたのは、時間帯で分けることだった。授業と課題の時間は英語、食事や移動の時間は日本語。それだけだ。
最初から完璧にやろうとすると、息が詰まる。緩いところを作っておくと、長く続けられる。語学は期間が長いほど、無理が効かない。
同じ日本人でも、英語を使いたい人と日本語で話したい人がいる。そこは相性の問題なので、無理に合わせなくていい。
自分が実際に決めていた線は、次のようなものだ。
- 授業と課題の時間は日本語を使わない。
- 移動や食事の時間は、無理に英語にしない。
- 生活の手続きで困ったら、すぐに聞く。
- 英語の練習は先生との会話を優先する。
- 日本人以外の友人にも、自分から声をかける。
- 週に一度は、日本語を話さない日を作る。
避けたくなる気持ちは分かる
日本人を見てがっかりする気持ちは、自分にもあった。高い金と時間をかけて来たのに、と思うのは自然だ。
ただ、その感情をそのまま行動に移すと、選択肢が狭くなる。避けることで得られるものより、失うもののほうが大きい気がした。
「日本人とはつるまない」と決める前に、一度距離を置いて考えてみるといい。案外、いてくれてよかったと思う場面が出てくる。
自分の失敗
自分は途中で留学をやめて帰った。理由は英語ではなく、授業が合わなかったことだった。この話は別に書いている。
振り返ると、もっと早く人に相談すればよかった。一人で抱えていたので、判断が偏った。あのとき話せる相手がいたら、違う選択もあったかもしれない。
留学は孤独になりやすい。だからこそ、日本語で話せる相手の存在は、勉強の妨げではなく支えになる。
留学の目的を決める
日本人とどう付き合うかを決める前に、留学で何を得たいのかを決めたほうがいい。目的がはっきりしていれば、判断は自然と定まる。
英語を仕事で使いたいなら、質の高い英語に触れる時間を優先する。生活を楽しみたいなら、人とのつながりを優先する。どちらも間違いではない。
両方を狙うなら、時間を分けるしかない。全部を一度に取ろうとすると、どれも中途半端になる。自分はそうなった。
英語を使う場面をつくる
教室の外にも、英語を使う場面は作れる。店で注文する、道を尋ねる、カフェで話しかける。小さな用事でも、積み重なれば練習になる。
自分が効いたと感じたのは、同じ質問を何度もする方法だった。店や窓口で、同じことを別の人に聞く。表現が口に馴染むまで、繰り返す。
完璧な文を作ろうとすると、口が開かない。まず短く言って、通じなければ言い換える。その往復のほうが、勉強になる。
まとめ
留学先で日本人を避ける必要はない。最初の不安をやわらげ、生活の立ち上がりを助けてくれる。友達をつくる機会も増える。
ただし、日本語だけで過ごせば英語は伸びない。時間を分けて、英語に触れる場面を確保する。それだけでいい。
大事なのは、避けることではなく、何のために留学しているかを忘れないことだ。そこがぶれなければ、付き合い方は自然に決まる。